2009年01月17日

水の時代 Blue Goldへ

 BuleGoldという言葉を知っておりますか?水ビジネスのことを指しております。因みに石油ビジネスのことはBlackGoldと言います。世界では既に水のビジネスは急激に拡大しており、2000年には60兆円市場、2005年には70兆円市場、2025年には120兆円市場にまでなるといわれております。地球上の水の97.5%が海水で、淡水は2.5%、その淡水のうち永久凍土や氷河が69.5%で、人間が利用可能な水資源は30.5%、つまり、地球全体の水の0.8%しかありません。しかもご承知かもしれませんが、
工業化・都市化に伴なう地球温暖化や急激な人口の拡大を受け、水不足や水汚染が大変ひどい状況であり、既に5億人の人々が慢性的な水不足で悩んでおります。このままですと2050年に人口が89億人のうち、40億人が慢性不足になるといわれており、深刻です。

 水は農業、工業、生活のあらゆる分野に必要不可欠な資源であり、石油とは異なり代替不可能な資源であります。

 このような状況を鑑みて、21世紀は水の世紀であり、BuleGold、水がビジネスになるといわれているのです。

 日本は、地下水脈に関しては国土が狭いため、多くはありませんが、ご承知のように梅雨、台風、秋雨前線、雪などがあり、平均降水量は年間1700ミリに達しております。今後は温暖化の影響で、2025年までには337ミリも増加するものと予測されている。既に亜熱帯気候になっており、スコールが増えておりますからね。逆に水資源は豊富な状況であります。
 では心配いらないのでしょうか?そうではありません。

 バーチャルウォーターという表現があります。ご存知でしょうか?仮想水という意味です。日本の食料自給率はカロリーベースで40%。また穀物の食料自給率は重量ベースで27%しかありません。食糧に関しては、海外から輸入するしか術はありません。そしてその海外の穀物は当然その地域の水資源をベースに作成されていますので、日本は海外の水を輸入しているようなものです。そのことを仮の水を利用しているとしバーチャルウォーターというのです。日本は鎖国できない状況です。むしろ世界の水に関らないと食糧安全保障にも影響するのですね。

 小麦1キログラムを作るのに900リットルの水が、米一キログラムには1900リットル、鶏肉1キログラムには3500リットル、牛肉1キロには何と15000リットルの水分が必要になるのです。特に肉類は、穀物で育ちますので、その分も加算されるのです。
 世界の水危機の問題は、我々の台所にも大きな影響を与えるのだということを考えないといけない時代になりました。

 家畜を飼うことは、穀物を沢山消費することに繋がり、それは水の使用量を増やします。欧米型の肉食のライフスタイルがアジアにも定着することで、今後水の需要は確実に増加するということになるのです。
その増大する水需要に関してですが、1900年が年間579K 、1950年が1382K、2000年が3793K、2025年が5235Kです。世界の淡水量は拡大していない状況で、取水量は増加しています。また食料の確保をする上で農業用水が非常に重要なのですが、工業化と消費生活の高度化で農業用水の比率は減少しているのが現状です。工業は同じ水の容量で農業の凡そ70倍の価値を生み出しますので、途上国では農業生産を止め、工業用水への活用を更に進めています。また生活用水も2000年の384万Kから2025年では607万Kまで増加すると予測されている。生活用水とは飲料水の他に、トイレ、風呂・シャワー、洗濯、掃除などがあります。北米ではこれ以外に庭の芝生の手入れのための水撒きがあります。アジア諸国の近代化に伴ない水を使ったライフスタイルが定着しておりますので、今後も更に増加するものと思われます。

 米国の中西部の穀倉地帯における地下水の容量は2035年には間違いなく枯渇すると言われております。この地下水はオガララ帯水と呼ばれ、その大きさは46万K。日本の国土の1.2倍もあるのですが、既に1990年時点で水不足の危機だという指摘はありましたが、何も対策は取られていないままでした。あらゆる場所で地下水脈を深く掘り下げてゆくだけです。現在でも米国の水使用量の25%がこれに活用されているのですが、今後問題が顕在化してきます。世界有数の穀物地帯がそのような状況なのです。

 中国でも黄河流域の下流では枯渇しております。工業用、農業用と取水量が拡大しているためです。既に6500万人の方が水不足で苦しんでいるという状況です。北京や天津などでも水道需要に対してインフラ供給が間に合わず、水源確保が非常に困難な状況であります。中国華北部は今後水不足で経済成長が鈍化する可能性は否定できません。現在慢性的な水不足を解決するため長江の水を黄河流域の北部都市に流す運河プロジェクトの「南水北調」事業を進めていますが、揚子江自体が汚染されているため、飲み水はおろか農業用水にもならないだろうと危惧されています。

 世界では水の危機的状況がひしひしと迫ってきております。

 特に問題なのが、都市化の問題です。21世紀は都市化の時代であり、これは世界的に進んでいます。日本でも人口減少に伴ない農村地域から都市へ人口が集中していますが、世界においても都市人口の増加が急激に加速しています。国連によると、アジアでは2025年には全人口の約6割が都市居住者になります。都市における人口増加率は、全人口の増加率の2倍に達し、逆に総農村人口の減少が今後予想されています。東アジアでは2005年に農村人口と都市人口が逆転し、また南アジアにおいても現時点で農村人口と都市人口が逆転しました。巨大都市の数も急速に増加し、国連人間居住センターによれば、この地域における人口400万人以上の都市の数は2000年には28、さらに2025年には52まで増加し、都市人口全体に占める巨大都市居住者の割合も増加しています。都市への人口集中は、下水道や廃棄物処理施設、公共交通機関等に一層の負担を強いることとなり、これらの社会資本の増強に十分に対応していくことができない多くの都市では、大気汚染や水質汚濁等の環境問題の一層の深刻化しております。

 国連等の調査によると、もし完全に水不足を解消することが可能であるという前提に立ち計算すると、現在から2025 年までに水不足で悩む都市人口35 億人分の上下水道設備に要する費用には1兆8000億ドル。また工業用給水と排水処理、水域浄化に要する費用も2025年までに2兆5000億ドルドル、農業分野では、灌漑用に5,500億ドルが必要とみられております。また先進国での設備投資更新等で8000億ドル。以上を総計すると5兆ドル(600兆円)以上の投資額が20年で必要となる計算になります。

 このような巨大な建設需要は歴史上いままでないものであります。現在過剰流動性が高まり、金あまり現象が続いております。これを機会に世界的な規模での水インフラ整備をする絶好の機会であるといえるでしょう。

 水不足、水質汚染という水の危機は逆に機会を生む。つまり水は利益を生む資源である。英語ではこのことをBlue Goldと言います。そう遠くない将来に需要が供給を上回るという状況が予測されております。それを狙って様々な水ビジネスが動き始めているのです。

 
 水ビジネスの中で最も大きいのは上下水道のサービスです。公営サービスから民営化ビジネスの転換が世界で進んでおります。フランスのレギュラシオンを始め、欧州で始まったのですが、規制緩和で水道ビジネスが民営化してきました。国家財政も地方財政もグローバル競争化で特に増税が困難になる中、先行型の設備投資が厳しくなり、公営サービスでは難しくなりました。そこで運営を一任する大規模ウォーター施設運営会社が出てきたのです。オペレーション改革や人員改革を強行するとともにインフラを再整備し、古くなり尚且つ人の居ない地区は廃止し、無駄を削りました。民営化率は欧州で80%、米国で30%、アジアで50%まで増えました。アフリカはほぼ90%に近いですね。この分野では欧州企業が強いのですが、それは19世紀の帝国主義時代の植民地政策の影響で、インフラ整備は英仏両国で受けるケースが多く、長期契約をして、それを未だに続けるケースが多いからです。

 企業としてはスエズ運河を作ったスエズ、ベオリア(旧ビベンディ)、ドイツRWEを買収したテムズ・ウォーターやIWLなどがあります。民営サービスの60%以上をこれらが押えており、水を支配する者としてWater
 Barons(水男爵)と言われております。

 2003年以降日本でも一部水道の民営化が始まりましたが、実質上手く言っておりません。人事機構の改革などが難しいからだといわれております。しかし人口減少と産業空洞化で莫大な負債を抱えた公営サービスで果たしてどこまでサービスが続くのか指摘されており、近い将来民営化が進むものと期待されております。国内水道料金市場は3兆円市場と言われております。また世界の水道サービス市場ですが。2005年で60兆円もの規模があります、また2015年には87兆円、2025年には113兆円にまで成長すると期待されております。
 日本では水道サービスを国際的に仕掛ける大手サービス会社はまだ育っておりません。殆どが欧米のメジャー、先程申しましたWater Baronsに牛耳られております。今後世界市場で欧米資本に振り回されずにこの巨大なサービス市場の一角を担うプレイヤーが育ってくれることを願わずには居られません。

 アフリカや中央アジア等では水施設を建設する資金がありません。そこでWater Baronsは、欧米の銀行や政策投資銀行、世界銀行を利用し、資金調達を行ない、その地域の施設運営を牛耳るという構造を確立しております。きな臭い政治の話になりますね。日本がこのような話に入れるかは微妙ですが、総合商社あたりが狙っておりますね。
 
  水ビジネスとして日本の企業も海外進出を図っております。特に日本が強いのは、逆浸透膜処理技術や超純水装置です。メーカー部門は非常に強いのです。逆浸透膜処理では日東電工や東洋紡、東レが強く、中近東やアジアで受注が相次いでおります。どの企業ともに10年以内の売上倍増を計画しており、今後の収益の中核に据える戦略的育成事業に位置づけております。また超純水装置では栗田工業やオルガノ、荏原などが手がけております。最近では装置を販売するのではなく、超純水そのものを供給請負するサービス事業を手がけ始めております。つまり水を販売する事業モデルへの転換です。これにより設備投資動向を受けることなく、安定した収益モデルを確立しようとしております。
タグ:水問題
posted by ネモ提督 at 12:08| Comment(0) | 未来戦略 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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